組織概要

理事長挨拶

写真:理事長 内藤 尚志

地方公共団体金融機構は、法律に基づき、地方公共団体の資金需要に的確に応え、長期かつ低利の資金を融通することを主たる任務として、全ての地方公共団体の出資により設立された地方共同の資金調達機関です。強固な財務基盤の下で、貸付け・資金調達・地方支援の3つの業務を通じて、地方公共団体の健全な財政運営を支え、持続可能な地域社会の実現に寄与することを目指しています。

最近の機構を取り巻く金融市場環境についてみると、国内では日本銀行の利上げにより「金利のある世界」が到来した一方、国外では欧米の中央銀行等が金融引締めから緩和へと金融政策を転換し、新たな局面を迎えています。さらには、米国の関税政策の影響、各国の政治情勢の不安定化や地政学リスクの顕在化など不確実性の高い環境の下、金利や為替の動向など先行きの不透明な状況にあります。当機構としては、このような環境の中でも、求められる役割を引き続き的確に果たしてまいります。

まず、貸付けについては、2024年度末時点の貸付残高は22.7兆円となっており、国の地方債計画に基づき、「緊急防災・減災事業」、「過疎対策事業」及び「こども・子育て支援事業」といった地方公共団体にとって優先度が高い事業のほか、住民生活に密接に関連した「上下水道事業」、「病院事業」などの事業に貸付けを行っています。引き続き、公営競技(競馬・競輪・オートレース・ボートレース)の施行団体から納付いただいた収益金を活用して、貸付利率の引き下げを行い、低利な資金を地方公共団体に融資していきます。

こうした貸付けの資金の調達のために、主に金融市場で地方金融機構債券を発行しており、2024年度末時点の債券等発行残高は19.2兆円となっています。これまで、市場からの確固たる信認を得、投資家の需要を的確に捉え、債券を発行してまいりました。これからも金融市場環境の変化に柔軟かつ的確に対応し、有利な資金調達を実現してまいります。

そして、地方支援については、地方公共団体の財政運営における良き相談相手となることを目指し、「調査研究」、「人材育成・実務支援」及び「情報発信」の三本柱を有機的に連携させながら各種事業を実施しています。特に、地方公共団体の要請に応えてアドバイザー派遣をしている地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業については、新たに広域連携や税務行政のDXを支援分野に追加するとともに、派遣数を大幅に増やしてまいります。さらには、少子化・人口減少対策、子育て環境の充実といった地方の政策ニーズの高い調査研究や情報発信などを積極的かつきめ細かに行い、地方公共団体の財政の健全性の確保・向上に貢献してまいります。

このほか、サステナビリティに関する取組みとして、引き続きグリーンボンドを国内外で発行するとともに、貸付け、資金調達及び地方支援の全ての事業活動にESGの観点を盛り込み、持続可能な地域社会の実現に一層貢献してまいります。

役職員一同、当機構の使命である「金融で地方財政を支え 地域の未来を拓く」の実現に向け、安定的な資金調達で地方公共団体の資金需要に的確に応えること、地方支援業務をより一層充実させることを通じ、地方公共団体の健全な財政運営、そして持続可能な地域社会の実現へ貢献するため、引き続き業務の遂行に全力を尽くしてまいりますので、関係各位の御協力・御支援をよろしくお願い申し上げます。

地方公共団体金融機構 理事長
令和7年4月 内藤 尚志