金融と財政に関するよくある質問
相談具体例
資金調達や資金運用に関する相談などについて、年間50件程度のご相談をいただいております。
過去に相談をいただいた一部の事例について、下記にご紹介いたします。
資金調達に関する実務支援
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金融機関から借り入れる際の「スプレッド」は、金融機関の資金調達コストと貸出金利の差の部分を指し「利ざや」とも呼ばれます。外部からは、各金融機関の正確な資金調達コストはわからないので、長期借入では国債金利、短期借入ではTIBOR等の短期市場金利を目安にします。
自治体の財政担当者から「銀行等引受債の借入利率が、前年度の利率や他の自治体の借入利率と比べて高いようだが、細かい条件が違うので一概には比較ができない。」というご相談を頂くことがよくあります。
「借入利率=指標となる市場金利+スプレッド」と見なし、金融機関の借入契約ごとにスプレッドを見ることで、過去の借入や他団体の借入と比較しやすくなります。
相対交渉での借入に限らず入札方式や見積合わせ方式で調達する場合にも、借入金利の水準を考える際の目安となります。
過去の実績に基づき、スプレッド分析を行いアドバイスすることも可能です。詳細についてご関心のある方は、実務支援の中でご対応いたしますので、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。
ファイナンス支援課では、提示された利率の妥当性を検討するための「スプレッド分析シート」を提供しています。このシートは、国債金利を指標金利としてスプレッドを試算します。ご希望の方はファインス支援課までお問い合わせください。メールでお送りします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
また、出前講座の「地方債の金利の見方」や「銀行等引受債の借入交渉」の講義でも取り上げています。こちらもぜひご活用ください。
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一般に、借入期間と金利の関係は、期間が長くなるほど、金利が高くなるという右肩あがりの構造となっています(金利を縦軸、期間を横軸とし、金利と期間の関係をグラフ化したものをイールドカーブといいます。)。
通常のイールドカーブであれば、期間20年の金利より、期間10年の金利の方が低いので、20年の固定金利で借りるより、10年後金利見直し方式で借りた方が、当初10年の借入金利は低くなります。一方、10年後に金利を見直す際に、市場金利が上昇していれば、当初10年の借入金利より、見直し後の金利が高くなるリスクがあります。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
また、出前講座の「銀行等引受債の借入交渉」の講義でも本件について取り上げています。こちらもぜひご活用ください。
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日本円LIBORは2021年12月末に廃止になり、長期金利の目安とされていた、日本円LIBORと長期固定金利のスワップレートも公表されなくなりました。その後は複数の代替指標が使われていますが、「すべての金融機関が使う指標」は定まっていません。金融機関と交渉して、どの指標が使えるかを確認しましょう。国債金利を目安とすることも考えられます。
LIBOR代替指標については「JFMだより」第43号(2022年9月)の「LIBOR の廃止と代替金利」にまとめています。ご関心があればこちらをご参照ください。
また、ファイナンス支援課では、提示された利率の妥当性を検討するための「スプレッド分析シート」を提供しています。このシートは、国債金利を指標金利としてスプレッドを試算します。ご希望の方はファインス支援課までお問い合わせください。メールでお送りします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
さらに、出前講座の「銀行等引受債の借入交渉」でも本件について取り上げています。こちらもぜひご活用ください。
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まず、指定金融機関や指定代理、収納代理といった金融機関に連絡をとってみましょう。自団体の営業担当者がいるかも確認してください。金融機関からの借入残高がない、あるいは長期間、新規借入実績がない場合、担当者がいない可能性があります。まずは、交渉窓口をはっきりさせることが必要です。
その上で、新規の資金需要があり、民間借入を検討中であることを伝え、できれば店舗を訪問し、借入時期や金額を伝え、金融機関側に貸出の意向があるかを確認しましょう。
金融機関から見れば、自治体といえども数ある取引(見込)先のひとつに過ぎません。自治体側から資金が必要な事業の計画等を丁寧に説明すれば、金融機関側からも、自行内での手続を想定して、質問や資料請求があると思います。さまざまな提案もあるかも知れません。また、金融機関の自治体向け融資の方針(最長の償還期間や利率の設定方法など)も確認しておく必要があります。
それら、金融機関の事情も踏まえて、相対交渉で借りるのか、入札・見積合わせで借りるのか等についても判断し、金融機関にも伝えてください。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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住民参加型市場公募地方債は、発行の仕組みは、都道府県や政令市が発行する市場公募地方債と同じで、発行規模が小さくなると考えてもらえばいいと思います。
過去の事例を見ると、発行規模は数億円から10億円程度、5年満期一括償還というケースが多くなっています。通常、販売や償還の事務を金融機関に委託します。
利率や最低購入金額をどの程度の水準に設定するかも重要です。利率を高くすれば、売りさばきやすくなりますが、自治体側はコストアップになります。最低購入金額は、1万円、10万円、100万円等が考えられます。
購入促進のため、返礼品を付けたり、施設完成後の内覧会に購入者を招待する等の工夫をする事例もあります。
初めて住民参加型市場公募地方債を発行する団体に対して、当機構で経費の一部を補助する制度もあります。詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課へお問い合わせください(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
資金運用に関する実務支援
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金融商品の利回り(リターン)は、金融商品のリスク(信用リスク、金利変動リスク等)に応じて決まるものです。
定期預金並みにリスクが小さく(ローリスク)、定期預金よりは相当利回りの高い(ハイリターン)金融商品があった場合、そのような金融商品は誰でも入手したいので、買い手が殺到して需要が増え、供給を大きく上回り、価格は上昇します。上昇後の価格に対する利回り(リターン)は下落し、ローリスク、ローリターンとなります。
市場では多くの投資家が、様々な金融商品のリスクとリターンに目を配り、より有利な商品へ資金を振り分けることを日々行っています。その結果、リスクに見合った運用利回りに自然と落ち着くのです。
「リスクが小さくて、利回りが高い」という旨みのある金融商品のセールスを受けたら、リターンの高さに見合うリスクがどこかに潜んでいると思い、購入を決める前によく調べてください。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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20年以上を中心とした超長期債券は金利上昇によりほとんどの銘柄が含み損の状態です。その対処法としては、満期保有して元本の償還を待つか、金利が再び下がる(価格が再び上がる)のを待って売却するか、が主な対策だと思われます。また、引き続き債券を購入する予定でしたら、なるべく期間の短い債券を選択することをお勧めします。利回りは低いですが、もし金利が上昇しても超長期債よりは価格下落額が小さくなります。ただし、金利上昇時に途中売却が難しいのは償還期間が短くても超長期債と同じですのでご留意ください。
債券購入の際には提示された利率だけで判断せず、償還期間と金利の動きをよく見定めて、買うタイミングも大切と覚えておいてください。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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自治体の資金管理・資金運用については、運用資金が税公金ということもあり、「安全性」と「流動性」を確保した上で、「収益性」を追求することになります。
地方自治法、地方財政法にも原則は示されていますが、本格的に債券運用に取り組むのであれば、資金管理、資金運用についての基本方針、資金管理・運用に関する規程を整備することをお勧めします。また、過去に制定された方針、規程類があれば内容を確認し、必要があれば見直しましょう。
方針、規程類の中で、資金管理・運用の原則、所管部署、対象とする金融商品、運用期間、運用の意思決定はどのように行うか等の基本的なルールを定め、さらに、方針・規程の変更や、運用結果のモニタリングをどのような形で行うかも定めるとよいでしょう。庁内関連部署のメンバーによる資金管理委員会を組成する場合もあります。
資金管理、運用を個人任せにすると不正やミスが生じて、予期せぬ損失を被る恐れがあります。そのような「人のリスク」を回避するためにも、ルールベースで、組織として資金管理、資金運用に取り組む必要があります。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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預金保険制度とは、預金を取り扱う金融機関の経営が不調となり、預金を払い戻せない場合に、預金保険機構が当座預金や決済用普通預金等の利息のつかない預金については全額、利息のつく普通預金や定期預金等の一般の預金等については1,000万円までを限度に、預金者に保険金を支払う仕組みのことです。なお、譲渡性預金については、預金者が第三者に譲渡可能なため保護対象外となっているので、注意が必要です。
金融機関は、毎年、預金残高に応じて、預金保険機構に保険料を支払っています。全額保護となる当座預金、決済用普通預金の保険料率の方が高くなっています。
ペイオフとは、利息のつく預金の保護が一定額にとどまる(必ずしも全額は支払われない)ことを指しています。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。実務支援の中でご対応いたします(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
財政運営その他に関する実務支援
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さまざまな財政に関する資料(決算カード、決算統計、地方交付税算定台帳、財政状況資料集、類似団体比較カード、地方財政白書など)や財政指標(財政力指数、経常収支比率、実質公債費比率)に加え、予算・決算書、予算説明書、長期総合計画、監査報告書、統計書・市町村要覧などが、分析の材料となると思われます。
また、当機構では、自団体の財政上の特徴を知るためのツールとして財政分析チャート「New Octagon」をホームページ上で公開しています。
財政収支見通しの作成については、当機構のホームページで公開している「地方公共団体における財政収支見通しの作成に関する調査研究報告書」が役立つと思います。平成29年から30年にかけて実施した地方財政に関する調査研究会で、財政収支見通しを作成している団体にヒアリングを行いまとめたものです。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください。本テーマでの出前講座も受け付けています(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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2023年に入り、振込手数料有料化に関する相談が増えています。背景には、銀行振込に関する銀行間の費用負担のルールが2021年10月に変更されたことがあります。これまで公金振込は無料でしたが、振込側銀行が受取側銀行に支払う手数料について、2024年10月以降は振込1件当たり62円かかることになりました(ルール変更の背景や詳細は、「JFMだより」第46号(2023年6月)の「内国為替制度運営費」をご参照ください。)。指定金融機関としては、振込手数料を無料のままで公金振込を続ければ、1件62円の費用増となるため、2024年度の予算に手数料負担の計上を求めて、自治体に対して交渉を始めたものと思われます。
さらに、金融機関側は、この機会に振込銀行内での事務処理コスト分の負担を求めるケースも多くなっています。
自治体としては、急な費用増は受け入れがたいと思われますが、金融機関側も低い金利の継続で経営が厳しい中、振込手数料については適正な利用者負担を求める姿勢で、妥協点を見つけるのが難しい状況です。
指定金融機関との取引は、公金収納・振込だけではありません。会計課では歳計現金の口座を設けていますし、基金の運用を定期預金で行っているかもしれません。財政課では銀行等引受債の借入を行っているかもしれません。地域の企業向けの制度融資を指定金融機関と連携して行う自治体もあります。指定金融機関の系列のリース会社から庁内のパソコンやコピー機のリースを受けているかもしれません。いずれにしても金融機関側は、それらすべての自治体との取引を管理していると思われます。金融機関は、個人取引でも、お得意様には各種手数料の優遇等を行います。自団体で、指定金融機関とどの程度取引を行っているかを把握し、その規模が大きければ、手数料の引き下げ交渉の余地もあるでしょう。そのためには、庁内各課との連携も重要です。
また、数年かけて金融機関側の要求水準まで引き上げることで交渉することも考えられます。先方の言い分も聞いた上で、自団体の状況も説明し、どこで折り合えるか考えることが必要でしょう。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
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固定資産税・都市計画税や自動車税など、自治体が税額を計算して、納税者に納付書を送付する賦課税については、コンビニ収納、ペイジー、銀行口座振替等収納方法の多様化が進んでいますが、依然として、金融機関窓口での収納も大きな割合を占めています。金融機関にとって無料での窓口収納は不採算業務でした。
指定金融機関と収納代理金融機関との間で、収納資金と納付済通知書を各地の手形交換所を通して収納代理金融機関から指定金融機関へ届けていましたが、2022年11月に全国各地の手形交換所が廃止され、全国単一の電子交換所に移行しました。電子交換所では、紙媒体のやりとりは行われないため、収納代理金融機関は納付済通知書を郵送や個別に持ち込む等に変更することを迫られ、さらにコスト負担が増えることになりました(詳細は、「JFMだより」第45号(2023年3月)の「手形交換所の終了とその影響」をご参照ください。)。
手形交換所の廃止方針は2019年に決まっていたので、それの動きも見据えた手数料要請だったと思われます。
2023年4月以降、地方税統一QRコードが導入されましたので、公金収納のありかたも大きく変化すると思われます。
詳細についてご関心のある方は、地方支援部ファイナンス支援課までお問い合わせください(連絡先はこのページの「申込先・お問い合わせ先」に記載しています。)。
申込先・お問い合わせ先
地方支援部ファイナンス支援課
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助言・資料等は、機構が信頼できると判断した情報源から取得した情報に基づいて実施しておりますが、その、正確性、安全性を保証するものではありません。
助言・資料等の内容につきましては、貴団体の判断に基づき、ご活用いただきますようお願いいたします。
なお、助言・資料等の内容に関する一切の権利につきましては機構に帰属し、助言・資料等の全部又は一部を機構の承諾なしに公表又は第三者に伝達することはできませんので、貴団体限りとしてご活用ください。